入れ歯
入れ歯とインプラントの
違いについて

歯を失ったときの代表的な治療法に「入れ歯」と「インプラント」があります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、患者さまのライフスタイルやご希望に合わせて選択することが大切です。
入れ歯とは
入れ歯(義歯)は、失った歯の代わりに取り外し式の人工歯を装着する治療法です。

入れ歯の特徴
- 保険適用のものもあり、
比較的費用が安い - 製作期間が短く、治療回数も少なめ
- 自分で取り外して手入れできる
- 歯ぐきに合わないと痛みや違和感が
出ることも - 食事や発音がしづらい
入れ歯が向いている方
- 費用を抑えたい方
- 治療回数を少なくしたい方
- 手術に不安がある方
インプラントとは

入れ歯とインプラントに比較表
※横にスクロールできます
入れ歯 | インプラント | |
見た目 | やや人工的 | 天然歯に近い |
噛む力 | 弱め | 強くしっかり噛める |
違和感 | 感じやすい | 少ない |
取り外し | 必要 | 不要(固定式) |
費用 | 比較的安い(保険あり) | 高額(保険適用外) |
治療期間 | 短い | 長め(数ヶ月) |
手術の有無 | なし | あり |
患者さまにとっての
入れ歯の魅力について

歯を失ったときの選択肢として、「入れ歯(義歯)」は今も多くの患者さまに選ばれている治療法です。
ここでは、患者さまの目線で見た入れ歯の魅力について解説します。
費用が比較的安い
(保険適用あり)
保険適用の入れ歯は、治療費の負担が軽く済むのが最大の魅力のひとつです。初めて入れ歯を作る方や、予算を重視したい方にとってはとても安心な選択肢です。
治療期間が短い・手術が不要
インプラントのように外科手術や長い治療期間が不要なため、短期間で噛む機能を回復できる点も魅力です。
高齢の方や持病のある方など、手術に不安がある方にも向いています。
取り外して清潔に保てる
入れ歯は取り外しが可能なので、自宅で簡単に洗浄できます。口腔内を清潔に保ちやすく、口臭や感染のリスクを抑えることができます。
修理や調整がしやすい
万が一合わなくなったり、壊れたりしても、比較的簡単に修理・調整できるのも入れ歯の魅力です。アフターケアがしやすい治療法です。
メインテナンスの違い
について

歯を失った後の治療として「入れ歯」と「インプラント」のどちらを選ぶかは、見た目や費用だけでなく、日常のお手入れ(メインテナンス)のしやすさも大切なポイントです。ここでは、それぞれのメインテナンスの違いについて分かりやすく解説します。
入れ歯のメインテナンス
入れ歯のメインテナンスは、取り外して洗浄することが基本で、毎日の清掃が必要です。就寝前には入れ歯を外し、義歯専用ブラシと洗浄剤を使って丁寧にお手入れを行いましょう。
食べカスや細菌が残っていると、口臭や歯ぐきの炎症などの原因になることがあります。特に保険の入れ歯は素材の特性上、汚れが付着しやすいため、毎日の清掃がとても重要です。
また、歯ぐきや残っている歯とのすき間に注意しながら、定期的な調整を受けることも大切です。
※通院頻度の目安:半年〜1年に1回の定期検診推奨されています。違和感があればすぐおご相談ください。
インプラントのメインテナンス
インプラントのメインテナンスには、天然歯と同様のセルフケアに加え、歯科医院でのプロによる管理が重要です。
毎日の歯磨きに加えて、歯間ブラシやフロスを使った丁寧なケアを行うことが求められます。
インプラントは虫歯にはなりませんが、インプラント周囲炎という歯周病に似た病気になる可能性があります。そのため、歯科医院での定期的なクリーニングやメインテナンスは欠かせません。
※通院頻度の目安:3ヶ月〜半年ごとのメインテナンスが推奨されています。
どちらも「継続的なメインテナンス」が
長持ちのカギ
入れ歯もインプラントも、長く快適に使い続けるには定期的な歯科医院でのチェックが必要です。
入れ歯とインプラントの
費用比較

歯を失ったときの治療法として選ばれる「入れ歯」と「インプラント」ですが、費用面は治療法を選ぶうえで非常に重要なポイントです。こちらでは、それぞれの費用感や保険適用の有無、長期的なコストについて解説します。
入れ歯の費用(保険/自費)
保険診療の場合
部分入れ歯 | 約5,500〜16,500円前後 (自己負担3割の場合) |
総入れ歯 | 約11,000〜22,000円前後 |
※全て税込価格です
※見た目や快適性は制限があります
自費診療の場合
金属床入れ歯 | 165,000円~418,000円 |
ノンクラスプデンチャー | 165,000円~418,000円 |
※全て税込価格です
※見た目やフィット感、素材にこだわりたい方におすすめです
インプラントの費用(自費のみ)
インプラント(1本あたり) | 330,000円〜 |
上部構造(かぶせ物含む) | 440,000円〜程度が相場 |
※全て税込価格です
※骨造成(骨を増やす処置)やCT検査が必要な場合、さらに費用がかかります。
長期的に見た費用対効果
入れ歯 | インプラント | |
初期費用 | ◎安価 | △高額 |
寿命 | △1〜5年で作り直しが必要 | ◎半永久 |
快適さ | △ズレたり外れたりすることがある | ◎しっかり噛めて見た目も自然 |
メインテナンス | ◎自分で可能(+定期検診) | △プロによる管理が必須 |
初期費用を抑えたい方は入れ歯、長期的に見てしっかり噛みたい・快適に過ごしたい方はインプラントが向いています。
入れ歯の種類
総入れ歯
「総入れ歯(フルデンチャー)」とは、上顎または下顎のすべての歯を失った方に対して装着する取り外し式の入れ歯(義歯)です。
虫歯や歯周病、事故などで多くの歯を失った場合、噛む・話す・見た目を整えるという機能を補うために、総入れ歯が選ばれることがあります。

総入れ歯の種類
保険適用の総入れ歯
レジン(プラスチック)製で、費用を抑えられます。多少の厚みや見た目の制限はありますが、最低限の機能をカバーできます。
自費の総入れ歯
金属床(チタンやコバルトクロム)やシリコン素材を使うことで、薄くて丈夫・違和感が少ない・発音がしやすいなど、より自然で快適な仕上がりになります。
総入れ歯のメリット・デメリット
メリット
- 外科処置が不要
- 治療期間が比較的短い
- 費用を抑えることが可能
(保険適用の場合)
デメリット
- 噛む力が弱い
- 外れやすい・ズレる可能性がある
- 装着時の違和感を感じる可能性がある
- 定期的な調整や作り直しが必要
こんな方におすすめ
- 上下どちらか、もしくは両方の歯を
すべて失った方 - 外科手術に抵抗がある方
(持病でインプラントが難しい方) - 短期間で噛む機能を回復したい方
部分入れ歯
「部分入れ歯(部分義歯)」とは、歯が一部だけ抜けてしまった方のために作られる取り外し可能な入れ歯(義歯)です。
1本から複数本の歯を失った場合に対応でき、残っている歯にバネ(金属のクラスプ)などで固定して使用します。

部分入れ歯の特徴
- 失った歯を補い、噛む・話す・
見た目の機能を回復 - 残っている歯に負担をかけずに
取り外し式で清掃も簡単 - 入れ歯の調整や修理が可能で、
長期的な使用にも対応
部分入れ歯の種類
保険適用の部分入れ歯
プラスチック製の土台に金属のバネがついています。
費用を抑えたい方におすすめですが、金属が目立つ・違和感があるという声もあります。
自費の部分入れ歯
金属床やノンクラスプデンチャー(バネなし入れ歯)など、審美性や快適さを重視した素材で作られます。
自然な見た目や装着感を求める方に好まれます。
部分入れ歯のメリット・デメリット
メリット
- 外科手術不要で気軽に導入できる
- 比較的短期間で製作できる
- 保険対応なら費用を抑えられる
デメリット
- バネが目立つ場合がある
- 噛む力が天然歯より弱い
- 定期的なメインテナンスが必要
- 隣の歯に負担をかけることがある
こんな方におすすめ
- 1本〜数本の歯を失った方
まだ多くの天然歯が残っている方に
適しています - インプラント手術が難しい方
持病や骨の量の関係で外科処置ができない方も、部分入れ歯なら対応可能です - ブリッジにしたくない・できない方
両隣の健康な歯を削りたくない方や、
支えとなる歯がない場合にも有効です - 費用を抑えたい方
保険適用の部分入れ歯なら、
比較的安価に作成できます - 短期間で歯を補いたい方
インプラントなどに比べ、製作期間
が短く、すぐに使用を開始できます - 取り外しできる義歯を希望される方
毎日の清掃がしやすく、口腔内を
清潔に保ちやすいのが特徴です
入れ歯の材質

入れ歯は使用する素材(材質)によって、見た目や装着感、耐久性に違いがあります。当院では、保険診療・自費診療の両方に対応し、患者さまに合った入れ歯をご提案しています。
保険診療の場合
レジン床
レジン床(プラスチック製の床)は、保険診療で使用される一般的な入れ歯の素材です。
レジン床の素材の特徴
- 厚みがあり、やや装着感に違和感が
出ることがある - 修理がしやすく、調整も容易
- 保険適用のため、費用を抑えられるのが
最大のメリット - 耐久性は劣りますが、定期的な調整・
修理で長く使用可能
自費の場合
金属床
金属床義歯は、主にチタンやコバルトクロムなどの金属を使用した高機能な入れ歯です。

金属床の素材の特徴
- 非常に薄く作れるため、違和感が少なく話しやすい・食事しやすい
- 熱伝導性が高く、食べ物や飲み物の温度を感じやすいのも魅力
- 強度があり、軽くて壊れにくい
- 美しさや機能性を重視される方に人気
こんな方には金属床がオススメ
- 装着感をなるべく自然にしたい方
- 食事を美味しく楽しみたい方
- 長く使える入れ歯が欲しい方
マグネット義歯
マグネット義歯は、磁石の力で固定する入れ歯で、安定感と快適さを重視した自費診療の義歯です。
バネを使わないため、見た目も自然で、しっかり噛めると注目されています。

マグネット義歯の素材と構造の特徴
- 磁性アタッチメントという小型の強力な磁石を、入れ歯と歯の根に取り付けて
使用する - 使用される磁石はサマリウムコバルトやネオジムなどの強力な永久磁石
- 歯の根(またはインプラント)に磁性金属を埋め込み、入れ歯側に磁石を装着して吸着させる仕組み
マグネット義歯のメリット
- ズレにくく、外れにくい
磁力でピタッと吸着するため、
会話中や食事中も安定感があります - バネが不要で見た目が自然
金属のバネがないので、見た目が
入れ歯だと分かりにくいです - 着脱が簡単
磁力で固定されているだけなので、
外すときは軽い力でOKです - お手入れしやすい
シンプルな構造で清掃もスムーズです
こんな方にはマグネット義歯がオススメ
- バネ付きの入れ歯が目立って気になる方
- インプラントが難しいけれど、
安定感のある入れ歯を希望される方 - 部分入れ歯でよく外れる・
痛みが出やすい方
マグネット義歯の注意点
- 土台となる歯や根が健康である必要
があります
(抜歯予定の歯には適用できません) - 磁石部分に強い衝撃が加わると
外れたり、劣化する可能性があるため
定期メインテナンスが必要です - MRI検査時に注意が必要なため、
医療機関での申告が必要です
ノンクラスプ義歯
ノンクラスプデンチャーとは、金属のバネ(クラスプ)を使用しない部分入れ歯のことです。
見た目の自然さと装着時の快適さを重視した自費診療の義歯で、「入れ歯と気づかれたくない」という方に選ばれています。

ノンクラスプ義歯の素材の特徴
- 金属のバネがないため、目立ちにくい
歯ぐきに近い色の特殊な樹脂を使用しているため、口を開けても入れ歯と気づかれにくい自然な見た目 - 柔らかくて軽く、装着感が良い
弾力性のある素材で、装着中の違和感や痛みが少なく、はじめての入れ歯にもおすすめ - 金属アレルギーの心配がない
金属不使用のため、アレルギーをお持ちの方も安心して使用可能 - 歯への負担が少ない
支えとなる健康な歯に過度な負担をかけにくく、将来の歯の寿命にも配慮された設計
こんな方にはノンクラスプデンチャー
がオススメ
- 入れ歯をしていることを周囲に
気づかれたくない方 - 金属のバネが気になる方、
アレルギーが心配な方 - 見た目の美しさを大切にしたい方
- しっかりとフィットする、
快適な部分入れ歯を求めている方
ノンクラスプデンチャーの注意点
- 保険適用外のため、自費診療となります
- 素材の特性上、修理や調整が難しい
ことがあるため、定期的なメインテナンス
が大切です - 噛み合わせや残っている歯の状態
によっては適応できない場合があります
保険義歯と自費義歯の比較表
※横にスクロールできます
保険義歯 (レジン床義歯) | 自費義歯 (金属床・ノンクラスプ・マグネットなど) | |
費用 | 保険適用内で安価 (数千円~1万円台) | 数万円~数十万円 (材質・設計により異なる) |
素材 | 主にプラスチック(レジン)製 | 金属(コバルトクロム、チタンなど)、 特殊樹脂、磁性アタッチメント |
見た目 | クラスプ(留め具)が目立ちやすい | 目立ちにくく、自然な見た目が可能 (ノンクラスプ等) |
装着感 | 厚みがあり違和感が出やすい | 薄くて軽く、違和感が少ない設計が可能 |
耐久性 | 割れやすく経年劣化しやすい | 丈夫で長持ちしやすい |
噛みやすさ | 強い咬合力にはやや不向き | 食べ物の感触や熱が伝わりやすく、 噛み心地が良い |
修理のしやすさ | 比較的簡単に修理可能 | 修理内容によっては時間や 費用がかかる場合も |
製作期間 | 比較的短期間 (2~3週間程度) | カスタマイズ性が高いため、やや長め (3~4週間以上) |
まとめ
- 保険義歯はコスト重視の方におすすめ。最低限の機能を満たす設計です
- 自費義歯は審美性・快適さ・耐久性を重視したい方に最適です
入れ歯の治療の流れ
について
「入れ歯が必要になったけれど、どんな流れで治療が進むのか不安…」
そんな方のために、義歯の完成までの一般的なステップをご紹介します。
当院では、保険診療の義歯(レジン床義歯)はもちろん、自費診療の金属床義歯やノンクラスプデンチャー、マグネット義歯にも対応しています。患者さまのご希望に沿った最適な入れ歯治療を提供いたします。
初診・カウンセリング
お口の状態を確認し、現在の悩みやご希望をしっかり伺います。
必要に応じてレントゲンや口腔内写真を撮影し、治療計画を立てます。

精密検査・治療計画のご提案
噛み合わせや残っている歯の状態を精査し、義歯の種類や材質をご提案。
保険適用の範囲、自費診療での選択肢も含めて、丁寧にご説明します。

型取り(印象採得)
上下の歯型を専用のトレーで採取します。
※より精密な義歯が必要な場合は、精密印象(シリコン印象)を行うこともあります。

噛み合わせ(咬合採得)
専用のワックスを使って、正しい顎の位置・噛み合わせの関係を確認します。
これにより、しっかり噛める入れ歯が製作可能となります。

試適(仮合わせ)
歯の並びや大きさ、噛み合わせの高さを確認するため、仮の義歯を一度お口に合わせます。違和感や見た目など、細かい調整をここで行います。

義歯の完成・装着
最終的な義歯が完成したら装着します。
装着後も噛み合わせや痛みの有無をチェックし、必要があれば微調整します。

定期メインテナンス
義歯は使い続けるうちに合わなくなる場合もあるため、定期的なチェックが重要です。
当院ではメインテナンス体制も整え、安心して長く使える入れ歯作りをサポートします。

入れ歯についてよくある質問

Q. 入れ歯とインプラント、
どちらが良いのですか?
A. 患者さまの年齢・お口の状態・ご希望・費用などによって異なります。
インプラントは固定式で噛みやすさに優れますが、手術が必要です。入れ歯は取り外し可能で手軽ですが、食事や発音がしずらかったり、慣れるまで違和感がある場合もあります。
当院では丁寧なカウンセリングで最適な治療法をご提案します。
Q. 入れ歯はどのくらいで
完成しますか?
A. 通常、3〜5回の通院で約1〜4週間ほどかかります。
お口の状態によってはもう少し期間がかかることもあります。
Q. 保険の入れ歯と自費の入れ歯の違いは何ですか?
A. 主に「素材」と「フィット感」「見た目」の違いがあります。
自費の入れ歯は薄くて軽く、金属床やノンクラスプタイプなど審美性や快適性が高いのが特徴です。
Q. 入れ歯を入れると痛いですか?
A. 初めは慣れるまでに違和感や痛みを感じることもありますが、調整することで徐々に快適に使えるようになります。
我慢せずにご相談ください。
Q. 入れ歯はどのくらいの頻度で
作り直す必要がありますか?
A. 目安としては1〜5年に一度の作り直し、もしくは3〜半年程度の定期的な調整が推奨されます。
年齢やお口の中の変化により合わなくなることがあるため、定期的なチェックが大切です。
Q. 入れ歯が外れやすい・
ガタつくのはなぜ?
A. 歯ぐきや骨の形が変化したり、入れ歯の劣化が原因の可能性があります。
リベース(裏打ち)や新製作で改善できることが多いです。
Q. 入れ歯でもしっかり噛めますか?
A. 適切に作製・調整すれば、噛めるようになります。
ただ、ご自身の歯(天然歯)に比べると劣ります。金属床義歯やマグネット義歯など、噛みやすさを重視したタイプもご用意しています。
Q. ノンクラスプデンチャーって
どんな入れ歯?
A. 金属のバネがない、見た目の自然な部分入れ歯です。
目立たず審美性に優れており、若い方にも人気です。特に前歯を失った方で入れ歯をご希望の方はバネが見えないのでお勧めです。