「治療したのに、また虫歯?」──詰め物・かぶせ物の下で進む“二次虫歯”の正体とは。
「何年か前に治療したところが、また虫歯になってるって言われました…」
「かぶせ物がしてあるから大丈夫だと思ってたのに…」
実はこうした相談、歯科ではとても多く、
大人の虫歯の大半は“再発”によるもの=二次虫歯だと言われています。
見た目では分かりにくく、気づいた時には進行していることが多いこの“二次虫歯”。
今回は、その原因や予防法を、わかりやすくお話しします。

■そもそも「二次虫歯」って何?
「二次虫歯(再う蝕)」とは、すでに治療をした歯が、再び虫歯になることを言います。
主に、以下のような場所に発生します:
- 詰め物と歯の境目
- かぶせ物の下
- 過去に神経を取った歯の根の周囲
見た目はキレイに治っていても、その下や周囲で虫歯がじわじわと進行していることも少なくありません。
■なぜまた虫歯になるの?──治した場所なのに…
「治療したのに、なぜまた虫歯になるの?」と感じる方も多いでしょう。
でも実は、治療した歯は健康な歯よりも虫歯になりやすいのです。
その理由は…
- 接着剤が経年劣化してすき間ができる
- 歯と詰め物・かぶせ物の境目に段差がある
- 歯と接着していない“はめこみ型”の構造のため、ぴったりでもわずかな隙間ができる
- プラーク(細菌のかたまり)がつきやすい素材もある
- セルフケアが届きにくく、磨き残しやすい部位でもある
つまり、治療済みの歯こそ、より丁寧なケアとメンテナンスが必要な場所なのです。
■「かぶせてあるから大丈夫」ではない
特に注意したいのが、かぶせ物(クラウン)の下の虫歯です。
かぶせ物で覆われていると、表面からは虫歯が見えにくく、
違和感も出づらいまま進行してしまうケースが多く見られます。
ある日突然、
- 「レントゲンで大きな虫歯が見つかった」
- 「歯の根まで進行していて、残せない」
- 「神経の治療が必要になった」
といったケースになることも。
**かぶせ物は“完璧なシールド”ではなく、“保護しているだけ”**だという認識が大切です。

■実は「取れたとき」がチャンスかもしれない
詰め物・かぶせ物がポロッと取れたとき、
「でも痛くないし放置して大丈夫かも」と思ってしまいがちですが、
その“取れたタイミング”こそが早期発見のチャンスかもしれません。
- 中で虫歯が進行していて取れた
- セメントが劣化して、すき間から細菌が入り込んでいた
- 歯が欠けて合わなくなっていた
など、実は“中で何か起きていた”ことが原因で外れることがほとんどです。
だからこそ、「取れたらすぐ歯科へ」が鉄則です。
■どうすれば二次虫歯を防げる?
完全に防ぐのは難しくても、“リスクを下げる”ことは確実にできます。
そのために大切なのは:
- 日々のていねいなセルフケア(特に歯間・歯ぐきの境目)
- フロスや歯間ブラシの併用
- 定期的なメンテナンスでのチェックとクリーニング
- 精度の高い治療と、適切な素材選び
特に素材については、セラミックなど歯としっかり接着できる素材の方が、すき間ができにくく再発しにくいという特徴があります。
ただし、どんな素材でもケアを怠れば虫歯になります。
予防の主役は“日々のお手入れ”と“定期健診”です。
■まとめ:「治した歯こそ、守る意識を」
一度治療を受けた歯には、それだけの“ダメージの履歴”があります。
だからこそ、その歯を長く使うには、「守る意識」がとても大切です。
- 「かぶせてあるから大丈夫」ではなく、「見えないからこそ要注意」
- 「治したから終わり」ではなく、「治してからがスタート」
あなたの大切な歯を、二度と同じ理由で削らないために。
気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。