「歯ぎしり・食いしばりってそんなに悪いの?」──見えないクセが歯を壊す本当の怖さ
「朝起きたらあごがだるい」
「歯がなんとなくしみる」
「歯が欠けたことがある」
これらの症状、もしかすると原因は**“歯ぎしり”や“食いしばり”**かもしれません。
夜寝ている間に起きるため、自覚がない人も多いですが、
歯科の現場では、実は非常に多くの患者さんに見られる習癖です。
今回はそんな「見えないけど確実に歯を壊していくクセ」、
歯ぎしり・食いしばりについて、わかりやすく解説していきます。

■そもそも、歯ぎしり・食いしばりって?
- 歯ぎしり(グラインディング):上下の歯をギリギリ擦り合わせる
- 食いしばり(クレンチング):ギュッと噛みしめるだけ(音は出ない)
- タッピング:カチカチと上下の歯を打ち鳴らす
このように、種類もいくつかありますが、
どれも**「無意識に歯に強い力がかかる状態」**という点は共通です。
■どれくらいの力がかかってるの?
実は、睡眠中の歯ぎしりでは、日中の何倍もの強い力がかかることがわかっています。
その力はなんと、100kg以上にもなることも。
これが毎晩毎晩、何年も積み重なっていくと…
■歯ぎしり・食いしばりが招く“静かなトラブル”
● 歯がすり減る・欠ける・ヒビが入る
→ 「前歯が丸くなってきた」「奥歯の角がない」なども要注意サイン
● 知覚過敏や自発痛が起こる
→ 歯の表面が削られ、神経に刺激が伝わりやすくなる
● 詰め物・かぶせ物が外れやすくなる
→ せっかくの治療が台無しに
● 顎関節症(あごの関節の不調)
→ 口が開きにくい・あごが痛い・音が鳴る
● 見た目の変化(エラが張ってくる)
→ 噛む筋肉(咬筋)が発達し、フェイスラインが変わることも
■自分では気づきにくいからこそ、チェックが大事
寝ている間のクセなので、本人は気づかないケースが大半です。
しかし、歯科医師からすると、見ただけで気づけるヒントがたくさんあります。
たとえば:
- 歯のすり減り具合
- 被せ物や詰め物の傷み方
- 頬の内側の噛み跡(咬合線)
- 舌のフチの形
- 顎まわりの筋肉の張り
これらは、定期健診やメンテナンス時にチェックできるポイントです。
■対策はあるの?
あります。しかも、早めに気づけば、とてもシンプルな対応で予防が可能です。
◎ 就寝時のマウスピース(ナイトガード)
→ 歯を保護する最もポピュラーな方法。保険適用もあり。
◎ 噛みしめに気づく習慣(TCHコントロール)
→ 日中、「上下の歯は当たってないのが正常」という意識づけ
◎ ストレスの緩和や睡眠環境の改善
→ 歯ぎしりはストレスと関連していることも多い

■まとめ:「歯を壊すのは“虫歯”だけじゃない」
- 歯ぎしり・食いしばりは、“歯の健康寿命”を削る静かな敵
- 虫歯ゼロでも、歯が割れて抜歯…ということも現実に起きている
- 無意識だからこそ、定期健診やメンテナンスで早期発見がカギ
「最近、歯がすり減ってきた気がする」
「朝起きると、なんとなくあごが疲れてる」
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。
歯を守るための一歩は、“気づくこと”から始まります。