「歯がすり減っている?」──実は毎日の噛み合わせが関係しているかもしれません
「昔と比べて歯が短くなった気がする」
「前歯の先端が平らになってきた」
そんな変化を感じたことはありませんか?
実は、歯は虫歯にならなくても、少しずつ形が変わっていくことがあります。
その代表的なものが**「咬耗(こうもう)」**です。
聞き慣れない言葉かもしれませんが、咬耗とは歯と歯が接触することで、歯の表面がすり減っていく現象のことです。
今回は、歯のすり減りと噛み合わせの関係についてお話しします。
■歯は一生同じ形ではありません
私たちの歯は、毎日の食事で何度も噛み合っています。
歯の表面を覆っているエナメル質は、人体の中でも特に硬い組織ですが、決して摩耗しないわけではありません。
長年使い続けることで、少しずつすり減っていくことがあります。
ある程度の咬耗は生理的な変化として見られますが、問題になるのは年齢に対してすり減りが大きい場合や、短期間で進行している場合です。
歯の形が大きく変わるほど進行すると、見た目だけでなく、噛み合わせや歯の機能にも影響することがあります。

■すり減ると何が問題なの?
歯の表面にあるエナメル質がすり減ると、その内側にある象牙質が露出することがあります。
象牙質はエナメル質よりも軟らかいため、露出すると摩耗が進みやすくなる場合があります。
また、次のような症状につながることもあります。
- 冷たいものがしみる
- 前歯の先端が平らになる
- 歯が短く見える
- 噛み合わせの状態が変化する
- 歯の一部が欠けやすくなる
ただし、すり減っているからといって、必ず症状が出るわけではありません。
患者さん自身は何も気づいていなくても、歯科医院で指摘されて初めて知ることもあります。
■原因は歯ぎしりだけではありません
歯がすり減る原因として、歯ぎしりを思い浮かべる方も多いと思います。
もちろん、睡眠中の歯ぎしりなどによって強い力が繰り返しかかると、咬耗が進行することがあります。
しかし、それだけではありません。
日常的な歯と歯の接触や、噛み合わせの状態なども関係します。
さらに、酸性の飲食物や胃酸などによって歯の表面が溶ける「酸蝕症(さんしょくしょう)」が重なると、歯の摩耗が進みやすくなる場合があります。
つまり、歯がすり減っているからといって、必ずしも歯ぎしりだけが原因とは限らないのです。
■すり減った歯は元に戻る?
残念ながら、一度失われたエナメル質が自然に元の形まで再生することはありません。
そのため、すり減りが進行している場合は、まず原因を調べることが重要です。
状態によっては、
- ナイトガード(マウスピース)の使用
- 噛み合わせの確認
- 酸性飲食物の摂取習慣の見直し
- 樹脂や被せ物による歯の形態の回復
などを検討します。
ただし、すり減っている歯をすべて治療する必要があるわけではありません。
症状がなく、進行も認められなければ、定期的に状態を確認していくこともあります。
大切なのは、今どれくらいすり減っているのか、今後も進行する可能性があるのかを判断することです。

■定期検診では歯の形も確認しています
歯科医院での定期検診というと、虫歯や歯周病のチェックをイメージする方が多いと思います。
しかし、実際には歯の形や噛み合わせの変化も重要な確認項目です。
以前の状態と比較することで、歯のすり減りが進んでいるかどうかを判断できることがあります。
特に咬耗は、長い時間をかけて少しずつ進行することがあるため、自分では変化に気づきにくいものです。
だからこそ、定期的に同じ歯科医院で経過を確認していくことにも意味があります。