「唾液ってそんなに大事?」──実は歯を守る重要な存在です
唾液」と聞いても、歯の健康と結びつけて考える方はあまり多くないかもしれません。
でも実は、私たちの歯は毎日、唾液によってかなり守られています。
しっかり歯磨きをしているのに虫歯になりやすい人と、多少磨き残しがあっても虫歯になりにくい人がいる。その違いには、食生活や歯並びなどとともに、唾液の働きも関係しています。
今回は、そんな「唾液」の意外と重要な役割についてお話しします。
■食事をするたび、歯は少しずつ溶けている?
食事をすると、お口の中の細菌が糖分を利用して酸を作ります。
すると口の中が酸性に傾き、歯の表面からカルシウムなどのミネラルが溶け出します。
これを**「脱灰(だっかい)」**といいます。
「じゃあ食事をするたびに虫歯になっているの?」
というと、そうではありません。
ここで活躍するのが唾液です。

■唾液が歯を修復してくれる
食事が終わると、唾液の働きによって酸性に傾いたお口の中が徐々に中性へ戻っていきます。
さらに、唾液に含まれるカルシウムやリンなどが歯に戻ることで、溶けかけた歯の表面を修復してくれます。
これが**「再石灰化」**です。

私たちのお口の中では毎日、
歯が少し溶ける「脱灰」
↓
唾液によって修復される「再石灰化」
という攻防が繰り返されています。
このバランスが「脱灰」に大きく傾いてしまった結果が、虫歯なのです。
■ダラダラ食べが良くない理由もここにある
ここまで分かると、なぜ「ダラダラ食べ」が虫歯につながりやすいのかも見えてきます。
例えば、甘い飲み物を何時間も少しずつ飲んだり、仕事をしながら頻繁にお菓子をつまんだりする生活。
食べるたびにお口の中は酸性に傾くため、唾液が歯を修復する時間を十分に確保できなくなってしまいます。
甘いものを一切食べてはいけない、という話ではありません。
「何を食べるか」だけではなく、「どのくらいの頻度で食べるか」も虫歯予防では重要なのです。
■お口が乾きやすい人は要注意
唾液が少なくなると、歯を守る力も低下します。
例えば、
- 朝起きると口がカラカラになる
- 口呼吸をしている
- 水分摂取が少ない
- 薬の影響で口が乾きやすい
といった方は注意が必要です。
唾液には再石灰化だけでなく、食べかすを洗い流したり、細菌の増殖を抑えたりする役割もあります。
つまり、唾液はお口の中に備わっている天然の防御システムともいえるのです。
■歯磨きだけが虫歯予防ではありません
虫歯予防というと、どうしても「歯磨きを頑張る」という話になりがちです。
もちろん歯磨きは非常に重要です。
しかし実際の虫歯リスクは、歯磨きだけではなく、食生活や唾液、歯並び、過去の治療歴など、さまざまな条件によって変わります。
だからこそ、
「ちゃんと磨いているから大丈夫」
とも、
「虫歯になったから歯磨きが下手」
とも、一概には言えません。
定期検診では、虫歯ができているかだけでなく、なぜ虫歯になりやすいのかという原因まで考えることが大切です。
自分のお口の特徴を知り、それに合った予防を続けること。
それが、何度も歯を削る治療を繰り返さないための大切な第一歩です。