「フロスって本当に必要?」──歯ブラシだけでは届かない“すき間”の真実。
「フロスって、やらなきゃダメですか?」
「毎日歯みがきしてるし、ちゃんと磨けてる気がするから使ってません」
こういった声、実はとても多いです。
ですが結論からお伝えすると、歯を本気で守りたいなら“フロスは必須”です。
なぜなら、歯ブラシだけではどうしても届かない場所があり、そこにこそ虫歯や歯周病の原因が潜んでいるからです。
今回は、「なぜフロスが必要なのか?」「どんな人にこそ使ってほしいのか?」をわかりやすく解説します。

■歯ブラシだけでは60〜70%しか汚れが落ちない?
毎日しっかり歯みがきしている。
時間をかけて磨いている。
…それでも虫歯や歯周病になる。
なぜでしょう?
実は、歯ブラシだけで落とせる汚れは全体の60〜70%程度と言われています。
特に苦手なのが、
- 歯と歯のすき間(隣接面)
- 歯ぐきとの境目
- 奥歯の奥側
この“磨き残しゾーン”にプラーク(細菌のかたまり)が溜まり続けることで、二次虫歯や歯周病が静かに進行していくのです。

■虫歯や歯周病の“発生場所”はすき間が圧倒的に多い
実際、歯科治療の現場では、詰め物の下や歯と歯の間から虫歯になっているケースが非常に多いです。
- 前歯の裏側のすき間が黒くなっていた
- 奥歯の間から虫歯が進行し、神経を取ることになった
- 歯と歯の間から歯周病が進行し、歯ぐきが大きく下がった
…こうしたトラブルのほとんどが、「見えにくく・届きにくい」場所から起きています。
そしてそこに有効なのが、フロス(デンタルフロス)や歯間ブラシです。
■フロスと歯間ブラシ、どっちを使えばいい?
◎フロスが向いている人:
- 歯と歯のすき間が狭い方(特に若い方)
- 詰め物・被せ物が少ない方
- 前歯のケアをしっかりしたい方
細い糸状のフロスで、すき間のプラークや食べかすをやさしく除去します。
◎歯間ブラシが向いている人:
- 歯と歯のすき間がやや広い方
- 歯周病が進行している方
- ブリッジやインプラントが入っている方
ワイヤーにブラシがついたタイプで、少し大きめのすき間にしっかりフィットします。
歯科医院で相談すれば、自分の口に合ったタイプやサイズの選び方をアドバイスしてもらえます。
■「たまに使う」では意味がない? フロスは“習慣化”がカギ
フロスや歯間ブラシを、
- 「たまにやってる」
- 「気になるときだけ使う」
という方も多いのですが、実は毎日使わないと意味が薄れてしまいます。
細菌は24〜48時間で成熟し、プラークから歯石へと変化します。
つまり、2日間何もしなければ、もう歯ブラシだけでは取れないレベルに育ってしまうのです。
だからこそ、毎日の“ついで”に数分でも習慣にすることがカギになります。
■フロスを習慣にすると、歯ぐきの健康が変わる
フロスを毎日使い続けている人は、
- 歯ぐきの炎症が減る
- 出血しにくくなる
- 歯ぐきが引き締まってくる
- 口臭の原因も減りやすい
といった変化を感じることが多いです。
最初は出血することもありますが、それは炎症が起きていた証拠。
むしろ、継続することで歯ぐきは少しずつ健康になっていきます。
■まとめ:フロスは“予防の最後の一手”です
虫歯や歯周病は、磨けていない場所から始まる病気です。
そして、その磨けていない場所の代表格が、歯と歯のすき間。
だからこそ、毎日の歯みがきに“フロス”というひと手間を加えることで、
歯の健康寿命を大きく伸ばせるのです。
歯を長く使い続けたい方へ。
まずは1日1回、夜の歯みがきのあとに「フロス」から始めてみませんか?